シェーグレン症候群は、口、鼻、皮膚、膣、関節など全身のさまざまな分泌腺が冒されてかわく病気です。
シェーグレン症候群は全身の分泌腺が冒される病気です。目に症状があれば眼科を受診し、口が乾燥すれば口腔外科、膣が乾けば婦人科、関節が痛めば整形外科、というふうに患者さんも複数の科を受診しなくてはなりません。全身にわたるはっきりしない訴えのために、極端な場合には「神経症」といった病名を告げられ途方にくれるといったこともあるようです。生命そのものにかかわったり、重い視力障害はきたさないものの、患者さんの不快感は想像以上に強いもののようです。
シェーグレン症候群は自己免疫疾患(自分の体を自分とは異なるものとして認識し、自らの体を攻撃する病気)の一種であり、目においては涙腺を冒し涙の分泌を障害し、口においては唾液腺を冒し唾液の分泌を障害します。
シェーグレン症候群は、40歳以上の中年女性に多く、男女比は1:9といわれています。誤解してはいけないことは、全てのドライアイがシェーグレン症候群ではないということです。シェーグレン症候群はドライアイを呈する患者さんの1割未満であると思われます。
シェーグレン症候群は腺細胞からの分泌物の低下が基礎となって、さまざまな症状があらわれます。
@眼症状
シェーグレン症候群の最も重要な症状は目の症状で、これは涙の分泌の減少によるものです。目が疲れる、めやにが多く出る、ゴロゴロする、痛む、膜がかかったようにかすむ、眩しい、朝、目が開けられない、といったものがその症状です。
A口腔症状
シェーグレン症候群の次に重要な症状は口内乾燥(ドライマウス)です。これも自己免疫現象により自らの唾液腺が破壊され唾液の分泌が減少することにより起こる症状です。
B関節痛
関節痛は関節リウマチの典型的な症状ですが、シェーグレン症候群もこの症状を呈します。しかし、関節リウマチとシェーグレン症候群が合併することもあり、このことが両者の鑑別を難しくさせています。
C膣乾燥症
シェーグレン症候群では膣乾燥症が起こりえます。膣にはバルトリン腺という膣を滑らかにする分泌腺があります。これは性交時の痛みの原因になり,また正常細菌叢を破壊するため膣炎の原因となります。
Dその他の腺外症状
シェーグレン症候群の2〜3割は(涙腺、唾液腺といった分泌腺の障害による乾燥症状の)他の全身の臓器障害です。
E呼吸器症状
シェーグレン症候群は、上気道(口、喉、鼻)、不気道(気管、気管支、肺)の粘液腺という分泌腺は異物や細菌を痰として外部に排出する働きがあります。その働きが障害され、粘液は粘稠性を増し気道を閉塞します。これにより呼吸障害や呼吸器感染症が起こります。
F血管炎
これは、ほとんどの自己免疫疾患に共通する所見です。抗体と抗原が結合してできた免疫複合体が血管の壁に沈着し、その内腔を閉塞し、また血管そのものがリンパ球の浸潤により障害されるといった機序が考えられます。
G腎臓
腎組織もリンパ球の浸潤、免疫複合体の沈着、血中タンパクの沈着により障害されます。このために尿を濃縮する働きに障害がおき尿量の増加のために頻尿になります。
・シェーグレン病厚生省診断基準
シェーグレン病厚生省診断基準は、眼所見と口腔所見が中心です。シェーグレン症候群の唾液腺と涙腺において最も特異的な所見は、生検組織におけるリンパ球浸潤です。
唾液腺生検査は、マチ針の頭くらいの口唇の小唾液腺を局所麻酔をしてで数個摘出するもの。
唾液腺管造影(シアログラフィー)という検査。この検査は、口腔内の唾液腺導管の開口部から逆行性に造影剤を注入し、唾液腺導管の形態をエックス線で撮影するものです。
唾液腺検査(ガム試験)です。この検査はガムをかんで十分間に分泌される唾液の量を計ります。
@涙液分泌減少症(ドライアイ)の治療
人工涙液、涙点プラグ挿入術、血清点眼、□眼軟膏、モイスチャーエイド、屈折矯正手術 などの一般的な治療。
A口内乾燥症(ドライマウス)の治療
まず唾液の減少により引き起こされる虫歯の治療と予防が第一になります。予防には含嗽剤、トローチ、口腔用軟膏、人工唾液、内服薬等があります。
B関節痛の治療
シェーグレン症候群の関節痛は一般的に軽いです。アスピリン等の非ステロイド抗炎症剤が用いられます。まれにステロイド剤(副腎皮質ホルモン)も用いられますが、副作用の兼ね合い十分な管理のもとに注意して用いられます。
C膣乾燥症の治療
シェーグレン症候群では、バルトリン腺からの分泌液が減少することにより性行為に障害を及します。コールド・クリームやリューブ・ゼリーが比較的効果があるといわれています。
★シェーグレン症候群発症の原因が、現在解明されていないことより、この疾患を対症的に治療する事は出来ても、治癒させるまでには至りません。医師にとっても、患者にとっても治療における現時点でのゴールは、如何にこの病とうまくつき合っていくかにあります。